私の父は他系統萎縮症③

 父は母がいない間 ずっと一人なのかと思っていたら

 聞くと父も時々母のホテルへ行って 何日かしたら戻るという生活をしているそう。

 

それを聞いて少しホッとした。

 

 翌日 父の用事で車で出かけている時に ふと、そういえば昨日 「お向かいの〇〇さんが自転車を家に上げてくれたなあ」と話してくれた。怪我はその時にしたのかもと言っていた。

 

うちの実家は自転車を家の外の駐車場に置いておくとよく盗られる。駅までの通り道だからパッと盗られるのかなと。チェーンをかけたり対策しても盗られるから(原付もやられた)階段を上がって自宅の敷地内に駐輪している。その作業がなかなか大変なのである。なので自転車を自分で道路まで降ろせたというのが奇跡に近い。ましてや綺麗に片付けてあったので この父が??と疑問だらけだった。

 

 それにしても自転車で1時間半かけて病院へ行くなんてまさかまさかである。考えもしなかった。しばらく1人だったのも知らなかった。

 

昨日の父は血だらけだったので病院への行き道で怪我をしたのなら病院の先生が手当してくれるはずだから 帰り道でできた傷なんだろうなとは思っていた。話を聞くうちに 自宅に着いて自転車を運ぼうと階段を上がる時にこけたような気がすると言いだしたので もしそうだとしたら転けてひっくり返った所をお向かいさんが偶然か もしくは音を聞いてびっくりして助けてくれたのかもしれない。父はちょうどお向かいさんが通りかかって、、と話していたがおそらくびっくりして助けに来てくれたんだと思う。またお礼に伺おうと思う。

 

 父の用事が終わり、買い物へ行こうと父を誘う。昨日血だらけになってしまったが 洗濯が出来ないお気に入りのクッション(すぐ疲れるから寝転ぶ用の長いクッション)を新調しようと思っていたからだ。

 

ショッピングモールが近かったのでそこへ行く。お店をあちこち探して 今まで使っていたクッションに似ているが若干短いのを購入。

 

父は笑顔はほぼ見せなくなっていて ずっと一緒の表情をしているし 感情があまり分からなくなってきているので 喜んでいたのかどうかよくわからなかったが 毎日ねっ転がっているようなので購入してよかったと思う。

 

 それから昼を食べて帰ろうと言ってくれたのでお店を探す。

 

ご飯とお味噌汁が美味しそうな定食屋があったのでそこに決めた。

 

父はあったかいそばと海鮮丼のセットを注文。それぞれの注文が届き ありがたく頂く。

 

ふと父を見ると 食べる速度が以前に比べて格段に遅くなっていることに気がついた。以前は私が半分食べた頃には食べ終え 早く店を出たそうにしていたが 今は私が食べ終えてもようやく半分くらい食べたという感じになっていた。早食いのせいなのかよく気管に詰まらせてむせていたがそれはなくなっていたが 時々米を一粒一粒つまんで食べたり口の咀嚼がゆっくりだったりかなりゆっくりになっていて驚いた。意識してゆっくり食べているという様子ではなかった。病気がまた少し進行しているのかなと不安になった。

 

私は食べ終わったので お茶をすすり父を見ながら あと何回くらいこうやって一緒にご飯を食べることができるんだろうと寂しくなった。じわりと涙が出てきたので慌ててマスクをつけた。

 

④へ続く

 

#他系統萎縮症 #指定難病 #父